CSDは山形県でのAEFA・山形県日本青年国際交流機構(山形IYEO)共催、MSY在山形ベトナム人協会協力によるワークショップに招待された。
参加者名簿をざっと拝見したところ、78名の方が参加登録しているという。山形県内に暮らす方々ばかりでなく、北海道、東京、神奈川、大阪など遠方からの参加者、さらにはベトナムをはじめ世界の様々な国出身の方々がおり、世代も小さなお子さんから中高生、大学生、高齢の方まで多様だった。
山形県立図書館は広く静かな空間を有している。見学の際、多くの人がカフェスペースでは何がおいしいのか、とか、図書の借り方、市立図書館からの漫画の取り寄せ方、外国人でも本の購入希望が出せるのか、などの質問をしいていた。 見学後のワークショップで、CSDはベトナムの少数民族や山岳地域の子どもたちが本や図書館に触れられるよう実施しているレインボーライブラリープロジェクトについてシェアする時間をいただいた。虹に七つの色があるように、それぞれの図書館がそれぞれ特色を持ってほしいという願いを込めた活動を紹介した。読書以外に体育、演劇、ダンス、科学実験、様々な生きる力を育む活動、DIY作品製作等を行っていることなど。レインボーライブラリーには多様な機能があり、「図書館」としての役割はそのままに、より開かれた場にしたいと考えている。山形県立図書館も、今後は外国の方にもより親しみやすくオープンな場にしていきたいとのこと。共通点があると思った。だとすると、CSDの未来の図書館とはどんなものだろう? 全ての子どもたちが本に接する機会を持ち、世界をより深く理解するための知識に接し、その知識をほかの人たちとシェアできるような空間、ではないか。
CSDのプレゼン後、多くの外国人の方々からコメントをいただいた。あるベトナム人女性からは「素晴らしいプロジェクトね!ベトナムの図書館や子どもたちの写真もとても印象的だった」と言われた。実際、プロジェクトは読書の大切さと役割を多くの人々、特に子どもたちに伝えられていると思う。そして本に触れることそのものが素晴らしいことと思う。それぞれが広くて大きな知識に触れるにしたがい、コミュニティ全体の認識が高まり、さらに広めることができる。
プレゼンの後はグループに分かれての活動だった。大人のグループ、子どもグループ、未就学児と親のグループに分かれた。アインさんはメイン会場で大人グループに参加した。私は丸川先生がMCを務める子どものグループに入った。丸先生が司会、私とアキトシさん、タカユキさんが小グループのリーダーとなり、私のグループにはカスミ、ウメ、サナ、カズキ、イツキ、カロットがいた。
まずはアイスブレークとして椅子取りゲームなど。私はずっと立っていて、子どもたちが椅子が取れるようにしてあげた。その後、「こんな図書館あったらいいな・夢の図書館」についてグループディスカッションを行った。カスミのことが印象に残っている。とても集中して、次から次へと紙にアイディアを書いていた。ほかの子たちもそう。それぞれが違っていて、とても面白いアイディアを出していた。例えば、おしゃべりできる図書館、ペットとともに本を楽しめる図書館、自動の椅子が読みたい本のところへ連れて行ってくれる図書館。本の世界がそこにある図書館。本の中にある世界のおいしい料理が食べられる図書館…。革新的なことはいつだって、思考し、夢見ることから始まるのだ。
山形県の読書環境と同じように、ほかのコミュニティにも地元住民や外国人など多様な人々が暮らしている。ワークショップでは、コミュニティがいかに多様な人々を取り込んでより美しい、意義深い図書館をともにクリエイトしていくか、ということが大きなテーマとなっていた。
したがって、このワークショップの意義は、「多様な人々が共生する環境をつくり、ともにアイディアを出し合い、みんなの未来の図書館をつくりあげること」を目指すところにあるのだろう。
ワークショップの後は、ベトナム料理がメインの懇親会が開催された。山形に暮らす若いベトナム人カップルが開店したばかりというベトナム料理店のバインミーやブンチャーがふるまわれた。おつまみやデザートにはドリアンのチェーや味付きライスペーパー、ココナツキャンディ、プリンのようなもの?などいろいろあった。洋子さんがとてもおいしい手作りのお菓子をたくさん持ってきてくれた。おもてなしの国での、とても印象的なディナーだった。
翌朝、「前日のワークショップが新聞に載った」と未来子さんがメッセージでシェアしてくれた。朝食の際には、ホームステイ先のマリさんが新聞を持ってきて見せてくれたので、アインさんは記念にいただきたい旨、お願いした。私たちは新聞を丁寧にしまい、荷物をまとめ、山登りの準備をした。